2023(令和5)年3月18日(土曜日)午前10時より
学長 藁科 勝之
今年の雪は、昨年の大雪をさらに上回る大雪でしたが、ようやく雪解けが進むこの季節、弘前学院大学から、新たに若い有為な人材をお送りできることを、嬉しく思います。 皆さん、ご卒業、おめでとうございます。 本年度の卒業生は、以下のとおりであります。 学部については、 文学部60名。英語・英米文学科22名、日本語・日本文学科38名 社会福祉学部―社会福祉学科37名 看護学部―看護学科53名 以上、学部卒業生150名 大学院については、今回はありません。 なお、外国人留学生は、2名でした。 総計、150名の皆さんをお送りすることができました。
しかし、新型コロナ禍は、これで丸3年が過ぎ、4年目に入ってしまっております。ただ、最近はようやく沈静化している気配が見えます。とはいうものの、万が一の用心のために、昨年の学位記授与式と同様、感染拡大を極力排除するために、保護者・同伴者の皆様や来賓の方々のご参列を見送ることと致し、皆さんと教職員のみの学位記授与式となりました。
さて、このコロナと戦いの中で、こうして、今日の学位記授与式を迎えたわけですが、この間の、皆さんの努力はこれまでとは違って、並大抵ではなかったと思われます。しかし、それにもかかわらず成果をあげており、その1つは、就職状況にも現われております。
本年度の就職率は、就職希望者に対する割合で見ると、途中の段階ですが、学部学生の全体は9割5分であり、昨年同様、極めて高い数字を維持しております。 とりわけ、このコロナ禍で、社会生活上の制限がかけられているという厳しい状況だったにもかかわらず、いろいろ苦労なされたと思いますが、皆さんは頑張りました。
さて皆さんは、これから新社会人として、いろいろな方面で活躍されることを期待される人材となる訳です。
ところで、昔、「日本には、人しか資源がない」と言われていたのをご存じでしょうか。日本には、これといった資源がなく、あるといったら「人」だけだ、というものです。 人々が生活して、社会が発展して、より豊かな環境を作り上げてゆくには、資源が必要ですが、ところが、あいにく日本には、それを作る基となる資源がほとんどありません。あると言ったら、人、人間だけなのでした。 今もそうです。 しかし、人こそ、もっとも貴重な資源なのです。ですから「人財」つまり「人」と、財産の「財」を結びつけた「人財」という新語ができているわけなのです。 現在、「生涯学習」とか「人生100年時代」とか、こんな言葉があることはご存じでしょう。 「人生100年時代」とか「超スマート社会(Society5.0)」という時代に向けて、大きな転換点を迎える中にあります。ここでは生涯学習の重要性はますます高まっているのだと言われるのです。 社会人となった後も、新たな知識、技能を手に入れることが必要です。 社会人の学び直しが必要な時代です。
こうした時代状況を反映して、いわゆる、リカレント教育が推進される社会全体となりつつあるわけです。考えてもみてください。大学を出て、しかし、あと、60年、70年の人生が待っているのです。これからが大事なのです。
「学び」の時代なのです。この学びが、自分を育てるわけで、今、こういう言葉が生まれております。それは、「自分育ての時代」という言葉です。 そしてさらに言うと、皆さんは、「育自」、という言葉をご存知でしょうか? これは、近年生まれた言葉です。 このイクジは、子供を育てる「育児」ではなくて、「自分を育てる」の「育自」なのです。 しかしあまり固く考える必要はありません。ただ、じっくりと自分の将来を創って行きましょう。じっくりとかつゆっくりとで良いのです。
終わりにあたって、本学の建学の精神とそれに基づく教育方針を思い起こしていただきたいと思います。建学の精神では、「すべての人を大切にする精神をもって、すべての人と社会に対する責任を、積極的に果たす」と謳っています。 今ほど、この言葉を切実に感じる時はありません。 あのウクライナ侵攻です。あのニュースを聞くと、対岸の火事ではありません。 「畏神愛人」は単なる謳い文句ではありません。ニュースを耳にするたびに、これがいかに大切なものであるかが分かります。 どうか、これを胸に刻んで旅立ってくださるよう祈ります。
ともに頑張りましょう。 改めて、卒業おめでとうございます。